ベルリン日本庭園 融水苑 Japanischer Garden in Berlin-Marzahn
この庭園は、茶屋「如水亭」を中心に前庭、主庭、奥庭の3つの庭から成る廻遊式庭園である。全体のデザイン理念は、歴史と未来を象徴する構成となっている。前庭は池泉を中心とした庭園であり、主庭は枯山水、奥庭は芝生を中心とした庭園である。これら三庭園は、全く異なる性質を持つ空間として、相互を引き立て合う存在となり、更に、これを結ぶ軸線は、時間軸となって「流れ」を展開している。
具体的には、庭園南東側の滝は、ドイツの起源を表し、そこから溢れる水は、これまでの歴史の変遷を象徴しており、おおらかな芝生の間を流れ、前庭へと導かれた水は、小さな池となり、人々の身近な近代の歴史を投影する鏡を象徴している。その傍らに立つ茶屋は、今を生きる私達自身を意味する現在を表している。その茶屋から眺める主庭は、未来を象徴する枯山水として位置付けた。主庭の枯滝組は、鯉が滝を昇る様を表現したもので、禅の教えを引用したものである。禅では、鯉が滝を昇りきると龍と化すと言い、大きな関門を突破することの大変さを例えた言葉である。しかし突破後は、無限大に広がる大空を自由に駆け巡る事が出来ると言う事から、ここドイツと世界の未来を重ね合わせて表現したものである。
本庭園を訪れた人々が、日本文化についての理解を更に深め、また新たな興味の芽生えを探り当てると共に、夢広がる未来に向けて、今をどのように生きれば良いのかをじっくりと考え、見詰める時間を過ごして頂く事を切に望むものである。
資料出典および備考
1)枡野俊明(2003):禅の庭 桝野俊明の世界:毎日新聞社,pp 80-95
This stroll-style garden is called “The Garden of Merging Water.” The main feature is the tea house, “Nyosui-Tei,” around which are grouped three gardens: a front yard, a main garden and an inner garden. The total design idea is to symbolize history and the future. The front yard is a pond-style garden, the main garden is a dry landscape garden, and the inner garden is a lawn garden. These three very different areas complement each other by sharing the same space, and together form an axis which represents time. The whole garden, wrapped around this axis, symbolizes a “stream” of time.